カテゴリー「リサイクル記事」とは、過去の記事の中から風化させてしまってはいけないものをもう一度記事にしたものです。
『ユニークな雑貨屋』2011年8月24日
皆さんは全国チェーンの雑貨屋『ブルドッグ』ご存知だろうか。俺の住むこの街にもあり、とてもユニークな雑貨屋である。
まず、何がユニークかといえば、社員だかバイトだかわからない店員はラッピングを依頼すると、嫌な顔をするのだ。店員から客に対しては俺にだけなのかもしれないが、俺のほうからすればどの店員であってもそうだ。つまり俺は100%の確率で嫌な顔をされている。いや、もしかしたら俺の勘違いで嫌な顔なんてしてないのかもしれない。でも、あきらかに笑顔ではない。笑顔を見たことがない。でも、けっして笑顔が見たいわけではない。笑顔が見たいならマックへ行く。笑顔でないまでもふつーの表情でいろ。ダルそうにするな。そのうえラッピングの綺麗率は恐ろしく低い。
と、常日頃から『ブルドッグ』をユニークな雑貨屋と感心していたのだが、先日、事実とは思えないような、まさしく事実は小説より奇なりといった事件が起こった。まあ、必然的ではあったのだが。
俺のちょーかわいい娘が、明日、友達のプレゼントを買いに『ブルドッグ』へ行きたいという。で、予定が詰まっていて、朝できるだけ早くに、つまり開店と同時に買い物に行きたいようだった。俺はHPで開店時間を調べた。AM10:00から開いてるよー。娘は、よかった、と言った。
そして当日。俺は前日に持ち帰っていた仕事で使う資料を忘れて出社したため(アホやな)外回りの途中で自宅に寄った。娘の姿が見えないのと、自転車がないことに気付いた俺は、時計を見て、『ブルドッグ』に行ってんだなと思った。AM9:50。この年齢で時間に厳格なところは俺ゆずりである。
ところが俺が時間を確認した直後、キキキキキーっと鼓膜から眉間にかけて何かが突き刺さるようなけたたましい金属音がした。自転車のブレーキ音だ。娘が凄い勢いで帰ってきた。お父さんお仕事は?忘れ物しちゃってね。そんなことよりどうした?『ブルドック』AM11:00からだった。ちょっと待てよ。まだAM10:00にはなっていないだろ。もしかしたら開店前で閉まってたんじゃないのか?だってAM11:00からって書いてあるのが道路を渡る前に見えたもん。
どうやら、俺はHPの開店時間を見間違えたらしい。ごめんね。俺が謝ると娘は一瞬だけ悲しそうな顔を見せた。でもすぐに立ち直り、時間がない、といって近くのスーパーへと自転車を漕いだ。無念であろう。友達の誕生のプレゼントをスーパーで買うことになろうとは。
でもちょっと待て。俺は本当にHPの記載を見間違えたのだろうか?娘はちょーかわいいがおっちょこちょいなところがある。10と11を見間違えたのではないだろうか?何はともあれ、娘のあんな悲しそうな顔を見た以上、真相を付きとめなければならない。俺は、PCを立ち上げ『雑貨』『ブルドッグ』でHPの検索をかけた。『ブルドッグ』のHPにたどり着くと、店舗情報で、俺の住む街の『ブルドッグ』の情報を確認した。
AM10:00~PM11:00
やっぱり俺は正しかった。えっへん!
じゃねぇーだろ、おい!どういうことだ?娘の見間違えか?確認の為『ブルドッグ』に電話してみる。「何時から開いてますか?」「10時からです」ずいぶん待たされて元気のない声が答える。ちょーかわいい娘の見間違えか・・・。
っていうか、開いてるなら、『ブルドッグ』行こうぜ、娘よ。俺は運転席に滑り込み、エンジンをフル回転させてスーパーへ向かった。
しかし遅かった。
よほど時間がなかったのか、優柔不断な娘にしては早すぎる商品選びだった。先に自宅に戻った俺は娘に言う。やっぱりAM10:00からだったよ。電話したら開いてたぞ。でも、AM11:00からって書いてあったもん。乗れ、見に行こう。時間ないよ。すぐだから乗れ。
娘を疑う気持ちはみじんもなかった。娘も数くらいは一人前に読めるようになっている。何より娘は俺を責めることをしなかった。俺はただただ真実が知りたいだけだった。
この角を曲がれば俺の住む街にある『ブルドッグ』だ。おおおおっっっつ、でかでかと看板が見えてきた。
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俺はあごが外れそうになったよ。
なんともユニークな雑貨屋『ブルドッグ』である。ほんとにユニークな雑貨屋『ブルドッグ』である。ユニークとしか言葉がみつからない雑貨屋『ブルドッグ』である。俺はあの時の娘の悲しそうな表情が脳裏から離れない。でもそもそんなことはまったく気にしないであろうユニークな雑貨屋『ブルドッグ』である。
ただ救いは、スーパーで満足するプレゼントが選べて、包装もきちんとしてもらえたことだ。
ひろやん推薦のユニークな雑貨屋『ブルドッグ』のユニークな話でした。何か文句ある?