北村恭介15
俺の名は北村恭介。つい先日までひとつの店をまかされ、バーテンダーをしていた。今は探偵をしている。なぜかというと、それは作者の気まぐれだ。年齢は20代後半から30代半ばらしい。これも作者の都合によるものではっきりとはしていない。腕時計はタグホイヤー・グランドカレラ17RS。作者と同じものらしい。作者の都合だらけだが、転職してさらに暴れまくるぜ!
探偵業開店3日目。とはいうものの、探偵をやってみようか、と思いついてから3日たっただけの話で、営業活動や宣伝など全くしていない。当然、どこの誰にもしゃべった覚えはない。なのに依頼がやってきた。不思議な気がしたが、でも、依頼主が、以前北村恭介5で俺とトラブった邦海フードの社長だったので納得もした。蛇の道は蛇というわけか。社長は俺が『タビラ』のバーテンダーをやめたことは知らなかったようだ。当然ながら探偵を始めたことも知らない。
「呼び出してすまない」「かまわない」「おい。席を空けろ」社長は、どう見ても用心棒としか思えない、付き人を部屋の外へ乱暴に追い払った。「『タビラ』は閉めたのか?」「ああ、ちょいとわけありでね」口が裂けても、作者の気まぐれだとは言えない。あまく見られるのがオチだ。「うちに来ないか」「お断りだね。俺はあんたの正体もよくわかっていない」社長はソファーに腰を深く座り直し、「まあ、いい。それより頼みがあるんだ。こいつを探してほしい」そう言うと社長はスーツの内ポケットから写真を取り出した。女だ。「探偵をやれってか」初仕事になる。好都合だ。「あんた以外にも、探している奴はいるのか?」「それは必要な情報か?」「危険度が違うもんでね」「相手はヤクザだ。いやか?」あんたもそれに近いだろ、という言葉は飲み込んだ。「問題はない。報酬は?」社長はテーブルに札束を音を立てて置いた。おそらく100万だ。「これが必要経費で、成功報酬が500万だ」「悪くねー」写真を取り上げ女の顔を見た。30代前半か。いい女だ。関係を訊こうと思ったがやめた。任務には必要がない。「吉報を待ってろ」立ち上がり背を向けた。ドアノブを握ろうしたとき、後頭部に声が掛かった。「自信はあるのか?」「なかったら引き受けない」部屋を出ると、用心棒が、ドア越しに聞き耳を立てていた姿勢を、あわてて整えた。ビルを出ると、女の写真を取り出した。「見覚えあんだよなー」まじまじと見ながらつぶやく。
なんだかおもしろくなってきやがったぜ。だけど、『北村恭介16』には続かないかも知れない。何か文句ある?
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コメント
『北村恭介16』もキニナル~。
成功報酬の使い道も・・・。
投稿: fu- | 2010年2月17日 (水) 18時11分
fu-さん
『北村恭介16』もしかしたら探偵やめてるかも。
投稿: ひろやん | 2010年2月17日 (水) 22時52分
探偵辞めたらダメダメ!
北村恭介ってバーテンより探偵の名前ですがなぁ~・・・
ところで「おでん」の語源をお答えくださいませんか!、
気になって仕方ないのですが自分では調べようとしない無精者です。
でも、そのためにひろやんさんがいることに気がつきました・・・笑
投稿: ヘルブラウ | 2010年2月18日 (木) 18時40分
ヘルブラウさん
じゃあ、しばらく探偵やらせてみます。
「おでん」ですか。そうですか。はあー。そうですか。
投稿: ひろやん | 2010年2月19日 (金) 13時42分