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2011年1月 6日 (木)

リサイクル記事3

カテゴリー「リサイクル記事」とは、過去の記事の中から風化させてしまってはいけないものをもう一度記事にしたものです。

『想像』2008年12月4日

僕の携帯に間違い電話が掛かってきた。小学1年生くらいの男の子だった。「お父さん・・・」泣いていた。切なくなり、思わず「そうだよ」と言いそうになったが「ごめんね。違うよ」となぜか謝ってしまった。「ほんとに?」「うん、違うよ」男の子はすすり泣く。「この番号はお父さんじゃないから、掛けちゃだめだよ」「わかりました。ごめんなさい」最後の男の子の声はか細いものだった。

何だか胸が苦しくなっちゃった。何故か。

そこからひとつのストーリーが浮かんできたからだ。

男の子の両親は離婚し、母親と2人で暮らすことになった。学校から帰っても母親は仕事から戻っていない。留守番中、男の子は机の引き出しから、一枚の写真を取り出し、肩車をしている父親の姿を見つめるのが、日課となっていた。「会いたいよ、お父さん」

いつからか、男の子は母親の前で父親の話をしなくなった。それは怒られるからではなく、母親が悲しそうな顔をするからだ。しかも、それは母親の父親への未練ではなく、自分が父親と一緒に暮らせなくなった責任を感じてのものだと、男の子はわかっていた。

ある日男の子は、固定電話の横に立て掛けてあった、アドレス帳の中に父親の携帯番号を見つけた。我慢できずに禁断の電話を掛けてしまった。大人の男の声を、電話越しに聞いた男の子は、相手が父親だと思い込んだ。実際には最後の8を6に間違えて掛けてしまい、全く知らない男だったのだが・・・。

「お父さん」と呼ぶと「ごめんね」と謝られた後に「違うよ」と返事が返ってきた。「もう掛けちゃだめだよ」とも言われた。男の子は「もうお父さんのことは忘れなさい」という意味に捉えた。「わかりました」と言った後「会いたいよ、お父さん」と、言うはずだった言葉をぐっとかみ殺した。電話を切ったあと男の子は涙が止まらなかった。そしてひとしきり泣いた後、僕、強くなるよ、と父親に誓ったのだった。

想像するのは勝手だろ!何か文句ある?

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