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娘よ。おまえは今日で6年間の小学校生活を終えた。だけど、おめでとうなんて言わねぇよ。覚えているか?卒園のときも言わなかったはずだ。おまえにおめでとうと言えるのは、成人したときだ。おまえはまだまだスタートラインにも立っていない。ようやく基礎練習をはじめられる段階になろうとしているだけだ。これからの道のりは長く険しい。挫折もあれは自己嫌悪に陥ることもあるだろう。裏切りに合うかもしれないし、失恋だってあるかもしれない。悩みの質が変わり、量も増えるだろう。大切な人との別れなんてこともある。でも、いい。悩め、苦しめ、泣け。そうやって人間は作られていく。ただ、親ってのは、その姿を見続けていく必要がある。おめでとう、なんて軽々しく言えるわけがない。
6年間は長かったか?おまえの生きてきた時間、12年間のうち6年間は小学生だ。つまりは6/12=1/2だ。これは何を意味するかわかるか?考えてみろ。答えを見つけることができるか?できないだろう。それもそのはずだ、実は意味がない。ただ、半分なんだなぁー、と思っただけだ。
だけど、おまえの6/12と、親の6/38はまったく意味が違う。分母が小さいおまえにとって6という数字は、濃度が高い。でも、うかうかしていると、この6は、これから先どんとん薄まってぼやけていく。当然、濃度が高いほうが栄養は吸収しやすい。おまえはこの6をどうやって自分の血や肉や骨にしてくのか。親は何もしてやれない。おまえ次第だ。
だから、まだまだ、おめでとうなんて言わねぇよ。
それによく考えたら、おまえは4月からようやく5年生だった。何か文句ある?
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